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第42回日本小児臨床アレルギー学会学術大会

会長ご挨拶

「つながる医療、つなぐ未来 ―小児アレルギー診療のこれまでとこれから―」
Connected Care, Continuing Futures
— Pediatric Allergy from Past Practice to Future Possibilities —

第42回日本小児臨床アレルギー学会学術大会の開催にあたって

 第42回日本小児臨床アレルギー学会学術大会を、ウィンクあいち(名古屋市)にて開催させていただきます。大会長を拝命し、謹んでご挨拶申し上げます。
 本大会のテーマは「つながる医療、つなぐ未来 ―小児アレルギー診療のこれまでとこれから―」といたしました。かつての小児アレルギー診療は、治療薬も限られ、診療ガイドラインもなく、喘息で苦しんでいたお子さんには施設入院療法という長期入院の中で、医療者や仲間との関係性のなかから多くを学ぶものでした。喘息は吸入ステロイドもなく鍛錬療法が主流であり、アトピー性皮膚炎ではステロイドバッシングにより適切な治療が受けられない子どももいました。食物アレルギーに関しても、医師ごとに大きく方針が異なり、「とにかく除去」が基本の時代もありました。
 それから時を経て、現在では喘息には吸入ステロイドを中心とした治療が確立し、さらに重症例には生物学的製剤も使用可能となりました。アトピー性皮膚炎には複数の抗炎症外用薬やJAK阻害薬、生物学的製剤が登場し、以前では考えられなかったほどのコントロールが可能となっています。食物アレルギーにおいても科学的根拠に基づいた診療が進み、個別最適化された対応が実現しつつあります。
 このような目覚ましい治療の進歩がある一方で、私たちが目指す医療は単に「薬を出す」ことにとどまりません。子ども一人ひとりの特性や家庭環境、発達段階を理解し、医師だけでなく、小児アレルギーエデュケーター(PAE)を含む多職種が協働して、子どもたちと家族の健やかな成長を支えることが大切です。
 本テーマには、こうした“過去の診療経験”からの学びと、“これからの時代の医療”の両方をつなぎ、医療の本質的な価値—すなわち人との関係性と科学的根拠のバランス—を大切にしたいという思いを込めました。
 この大会が、診療・研究・教育に関わるすべての皆様が、過去と未来を見つめ直し、現場の実践と知を交わし合える場となることを願っています。皆さまと名古屋でお目にかかれることを、心より楽しみにしております。

第42回日本小児臨床アレルギー学会学術大会
大会長 長尾 みづほ
(国立病院機構三重病院 臨床研究部長)

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